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※赤字の日はお休みさせていただきます。
人体のpHの分布を見ると、雑菌から防御の必要性の高い部位は、それぞれの酸性物質を産生するメカニズムを有しておりpH7以下の酸性にあります。
しかし、酸性にあるのは特定の部位のみであり、その他は弱アルカリ性で血液のpH7.4を中心として成り立っています。
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人体の主な部位のpH
<アルカリ性:pH7以上>
血液・体液・リンパ液:7.4±0.05
羊水:pHは妊娠経過に伴いわずかに上昇し妊娠末期には7.6~7.7になる
精液:7.3~7.6
排卵期の子宮頚管粘液:pH7.0~8.5
脳脊髄液 (神経系を囲む液):7.4
<酸性:pH7以下>
胃液:1.0~3.0
膣口から分泌されるバルトリン腺液:3.8~4.5
皮脂膜:4.5~6
尿:4.6~6.8
母乳:6.6~6.8
<参考>
海:8.0~8.5/海面では約8.1
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私が皮膚との関係で特に注目しているのが、胎児は弱アルカリ性の羊水を10ケ月余りも皮膚に接触させていることによってすくすくと成長していることです。
多くの人は羊水が弱アルカリ性であることなど知ることなく、古くから弱アルカリ性のセッケンは肌に安心なものとして使用してきていることと思います。
しかし、近年になって「皮膚の表面は弱酸性だから弱酸性の洗浄料が肌にやさしい」と謳った商品が販売されています。
アトピー性皮膚炎等の肌の弱い人が増えている今日、消費者の皆さんには戸惑いがあるのではないでしょうか?
構造機能科学研究所にも時々ご質問をいただいていますので、今後、詳しく解説したいと思っていますが、今回は要点をご説明いたします。
水と油などの混ざらないものを混ぜたりなじませたりすることができる性質を持っている物質を両親媒性物質と称しており、産業界で利用しているものを界面活性剤と呼んでいます。
界面とは、異質なものが触れ合う境目のことです。
人体は水を主成分としており水に溶けない細胞や物質を分散させたり集合させたりしてできておりますが、そのカスガイの役割を果たしているのが天然の界面活性剤です。
私たちが利用している界面活性剤には、天然、半天然、合成のものがあります。
天然界面活性剤の代表例としては卵黄に含まれるリン脂質があり、専ら油と水等の乳化に用いられています(マヨネーズなど)。
洗顔等肌の洗浄に使用されているのは、半天然と合成の界面活性剤です。
半天然界面活性剤の代表がセッケンです。セッケンとは油脂成分である脂肪酸のナトリウム塩(固形セッケン)とカリウム塩(液体セッケン)のことであり、弱アルカリ性です。
脂肪酸には多種類のものがあり、脂肪酸の種類や添加剤等その他の成分、作り方などによって安全性は著しく異なります。
合成界面活性剤には、アルカリ性・中性・酸性のものが作られており、様々な用途に用いられています。弱酸性を謳っている洗浄成分は全て合成界面活性剤です。
肌に使用する洗浄料の安全性についての私の見解ですが、スキンバリアの要である皮脂膜や角質層の細胞間脂質が脂肪酸系脂質をベースにして成っていることや、弱アルカリ性の羊水が健やかな皮膚の成長を促している体の仕組み、さらには弱アルカリ性のセッケンが古くから世界で使われてきている実績などから、弱アルカリ性のセッケンが肌にやさしい洗浄料と思っています。
但し、セッケンの安全性も、前述しましたように脂肪酸の種類や添加剤等その他の成分、作り方などによって著しく異なるということを重ねて強調をしておきます。
(株)構造機能科学研究所
鈴木 正夫