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※赤字の日はお休みさせていただきます。
生命は海から生まれ進化して、一部のものは陸に住むようになったといわれています。
陸に上がった生物が、先ず備えなければ成らなかったのが乾燥防止と免疫です。多くの生物種において、その最前線の役割を果たしているのが油性の膜です。
秋は果物の季節ということで、今回は果物のスキンバリアを紹介いたします。
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ブドウの表面に白い粉がついていることにお気づきのことと思います。
この白い粉はブルームと呼ばれており、ブドウ自身が作り出す物質で、病原菌に感染するのを予防したり、乾燥から護り鮮度を保つ働きがあるワックス的な成分です。
人間で言えば、スキンバリアの要「皮脂膜」に相当した役割を果たしています。
ブルームの主成分は、オレアノール酸(Oleanolic acid)という五環トリテルペノイドの一種で、抗菌作用や抗炎症作用、抗酸化作用、抗腫瘍活性などの他、口腔内で虫歯や歯周病の原因となる病原菌の生育を抑制することが示されているなど、多様な生理活性を持つことが報告されています。
オレアノール酸は、多くの植物に含まれるトリテルペノイドの一種であり、28位にカルボキシ基を有する五環性トリテルペノイドの代表です。
分子式:C30H48O3/分子量:456.7/融点:約305℃
オレアノール酸・ウルソール酸・ベツリン酸は、植物における「三大機能性トリテルペノイド」とも呼ばれています。
ブルームは農薬やカビと勘違いされることがありますが、健やかで美味しさの象徴なんです!
ブルームはブドウだけではなく、ブルーベリーやスモモ、ナツメ、リンゴ、柿などの果皮の薄い果実のほか、ブロッコリーなどの野菜にも付いています。
キュウリは元来ブルームが付く野菜であり、私が子どもの頃に田舎で作っていたキュウリにはブルームが付いていた記憶がありますが、最近店頭で見るキュウリにはブルームがついていません。
ブルームを農薬と勘違いする消費者が多かったので、ブルームが付かないように品種改良されたのだそうです。
尚、食品でブルームとつく言葉に「ファットブルーム(fat bloom)」があります。
ファットブルームとは、チョコレートの表面が白い粉をふいた状態になる劣化現象のことです。
これはチョコレートに含まれるカカオ脂の結晶が、温度の上昇や長期保存の際に、相転移してさらに高融点の結晶粒を形成したものです。
ブルームができてしまったチョコレートは、ざらざらして口溶けが悪くなってしまいますので早めに食べるようにしましょう!
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※参考
カカオ脂の結晶は、融点、密度、結晶形などが異なる6タイプ(Ⅰ型~Ⅵ型)に分類されます。Ⅰ型からⅥ型の順に融点が高くなります。
Ⅰ型:17℃、Ⅱ型:23℃、Ⅲ型:25℃、Ⅳ型:28℃、Ⅴ型:33℃、Ⅵ型:36℃
チョコレートとして口溶けが良くて美味しいのはV型結晶です。
Ⅰ型からⅣ型の結晶は、融点が低くて製品には不適当です。
逆に最も安定なⅥ型は融点が高く、結晶粒径が粗いため融けてもざらつきのある食感になり、見た目も悪くなります。ファットブルームの結晶型はⅥ型です。
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(株)構造機能科学研究所
鈴木 正夫