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※赤字の日はお休みさせていただきます。
代表的な殺菌剤であるTriclosan(トリクロサン)とTriclocarban(トリクロカルバン)は、日本でも殺菌作用を謳う洗顔料やシャンプー、ボディソープ、ハンドソープ、歯磨き粉、マウスウォッシュ、家庭用洗剤などに広く使用されています。
さらに、防腐剤・抗菌剤・消臭剤として、化粧水やクレンジング剤、美容液、フェイスクリーム、日焼け止めといった化粧品類にも添加されていて、日本国内では約800品目が承認されています。
このように汎用されてきている殺菌剤が先ず石鹸で使用禁止になったことを知った多数の方から、
「以前から使ってきているのに、どうしてですか?」
とのご質問をいただいています。
…続きを読む…
FDAが抗菌石けんの販売禁止を決めた理由は、次の2点です。
1.殺菌剤を使用していない石けんと比較して有効性が認められない。
2.長期的に使用すると人体に害を及ぼす可能性がある。
今回の記事では、1点目の「石鹸に加えた殺菌剤が、なぜその効果を発揮しなかったのか」について注目してみたいと思います。
理由を端的に申しますと、分子の性質は置かれた環境によって異なるということです。
単品で調べたときの分子の性質が、混合物になったときも発現するかどうかは、他の分子との関係によります。
分子間の相互の関係は、次のようになります。
①分子の性質が希釈濃度に比例して、そのまま現れる
②分子の性質が強まって現れる
③分子の性質が消えてしまう
代表的な殺菌剤であるTriclosan(トリクロサン)を石鹸に加えた場合はどうなるのでしょうか?
正解は、「③分子の性質が消えてしまう」です。
トリクロサンの化学名(IUPAC名)は、次の通りです。
5-chloro-2-(2,4-dichlorophenoxy)phenol
酸性のphenol(フェノール)系分子が、その性質を発揮するのは中性~酸性です。
そして石鹸はアルカリ性です。
そのため酸とアルカリは中和されて、その固有の性質が消滅してしまうのです。
このようなことから、Triclosan(トリクロサン)に限らず、使用禁止になった殺菌剤は石鹸の中では殺菌効果を発揮できなかったものと思われます。
(株)構造機能科学研究所
代表取締役 鈴木 正夫