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チョコレートの科学

2017.02.10


私の分子科学における専門が「脂肪酸系脂質/脂肪酸とその誘導体」です。

脂肪酸系脂質を代表する天然脂質が油脂であり、その一つにカカオ脂(ココアバター)があります。
カカオ脂を用いた代表的なお菓子がチョコレートです。

今年もバレンタインデーが近づいてきていますので、チョコレートの美味しさの秘密「カカオ脂の多形現象」について解説いたします。
…続きを読む…


カカオ脂には6つの結晶形が存在します。
このように1つの物質が複数の結晶形を生じることを多形現象(polymorphism)と言います。
多形現象を発現する代表的な物質が脂肪酸系脂質です。中でも多彩な多形現象を発現するのがカカオ脂です。

その理由は、カカオ脂の分子構造にあります。
カカオ脂の分子構造は、グリセロール(慣用名:グリセリン)の3つの水酸基(OH)の2番目(真ん中)にオレイン酸(シス型二重結合を1つ有する不飽和脂肪酸)が結合して、1と3番目の水酸基にパルミチン酸とステアリン酸という飽和脂肪酸が結合しています。

このように、グリセロールの特定の位置に特定の脂肪酸が結合している脂質(油脂など)を構造脂質と称しており、カカオ脂は構造脂質の代表例です。カカオ脂の脂肪酸分子種の配置は、細胞膜脂質(リン脂質)の構造に近似しています。

チョコレートが多くの人を魅きつける秘密はカカオ脂の結晶構造に秘められているのです!


そこで、美味しいチョコレート作りの秘伝?を以下に伝授いたします。

チョコレートの成分の種類と量の詳細については、他の資料を参考にしていただくこととして、ここでは美味しいチョコレートの結晶系の作り方についてご紹介いたします。

************

チョコレートの主な成分は、カカオ豆から取ったカカオ脂とカカオマス、砂糖です。
カカオ脂には、融点の異なる6種類(Ⅰ~Ⅵ)の結晶が存在します。
各融点は、Ⅰ型 17.3℃、Ⅱ型 23.3℃、Ⅲ型 25.5℃、Ⅳ型 27.3℃、Ⅴ型 33.8℃、Ⅵ型 36.3 ℃です。

最も美味しいのはⅤ型の結晶です。Ⅴ型の結晶は、口に入れた時にとろりと融けて、特有のうまみを醸します。
Ⅴ型の結晶を作るには、テンパリング(温度調整)を行います。

①チョコレートを45~50℃に加熱して融かす
②いったん25~27℃に冷やして固化する(Ⅲ型)
③30~31℃まで温度を上げる(Ⅲ型⇒Ⅴ型)

Ⅴ型のみを作るには、かき混ぜる操作も重要です。
Ⅴ型の結晶は、数ヶ月経つと最も安定なⅥ型の結晶に変化して、チョコレートの表面に「ファットブルーム」と呼ばれる白いカビのような粉ができます。
食べるとざらざらして、口の中に何時までも残り、まずくなってしまいます。

ですので、チョコレートは美味しいうちに食べましょう。
そして、チョコレートの結晶形に秘められた贈り主の心を紐解いてみてはいかがでしょうか!?

************

ps:カカオ脂が醸す構造の多様性をヒントの1つとして、クレンジング・洗顔・保護・保湿までの多機能を有するRIMソープを開発しました。


(株)構造機能科学研究所
代表取締役 鈴木 正夫

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