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※赤字の日はお休みさせていただきます。
人体を形成している組織において、正反対の機能を果たしているのが「皮膚と腸」です。
皮膚は人体の表面に位置して、いかなるものも体内へ侵入することを防止しています。
一方、腸は人体に必要な種々の物質(水分や栄養素)を体内に取り込む窓口になっています。
このように、皮膚と腸は、その機能において縁遠い存在と考えられてきていました。
しかし、この理解を一変する事態が出現しました。「アレルギー」です。
アレルギーは、「皮膚と腸」が密接にリンクして発症していることが解ってきました。
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アレルギーは、50年前には殆どなかった病気ですが、現在では先進国に蔓延しており、日本人では平均で5割、子どもでは6割超が罹患しています。
世界の医学界では、アレルギの始まり「感作」は経口摂取された食べ物に起因する腸管感作と考えられてきていました。
そこで、2000年以降になって米国小児科学会では、アレルギー疾患を持つ両親から生まれたハイリスク児に対して、ピーナッツや鶏卵を含む数種類の食物を、妊娠・授乳中、および乳児期~幼児期にわたり除去するように推奨してきました。
そして、その予防効果を検証するために複数の疫学調査が行われましたが、しかし、ことごとく否定的な結果でした。
先進国においてアレルギーが急増してきている原因が混沌としている中、2003年、英国の小児科医Lackらはコホート研究を通して湿疹に対して行われた、ピーナッツオイル含有製品を使ったスキンケアがピーナッツアレルギーのリスクになることを見出しました。
そして2008年、Lack は二重抗原曝露仮説(dual allergen exposure hypothesis)(※1)という斬新な仮説を提唱しました。
『経口曝露は本来あるべき免疫寛容を誘導するのであって、アレルギー感作は経皮曝露による影響が大きい』
2009年、日本では小麦成分(加水分解小麦)を含有する茶のしずく石鹸の使用者に小麦アレルギーが発症し社会問題になり、経皮曝露が食物アレルギー等アレルギーを誘導することを臨床的に初めて証明した事例になりました。
その後、欧米でアレルギーの追究が活発に行われて、経皮感作がアレルギーの主な感作経路になっていることが明らかになりました。
一つのアレルギー疾患を契機に一連のアレルギー疾患を次々と発症することを「アレルギーマーチ」と称しており、次の順に発症する傾向があります。
【アレルギーマーチ:経皮感作⇒アトピー性皮膚炎⇒食物アレルギー⇒喘息⇒花粉症】
特に、「経皮感作⇒アトピー性皮膚炎⇒食物アレルギー」の関係が極めて密接であることが明らかになってきています(※2)。
国立成育医療研究センターの大矢幸弘医師は、次のように述べています。
『食物アレルギーは、経皮感作された抗原によって発症している。早い時期からスキンケアで皮膚からの侵入を防ぎながら食べることで食物アレルギーは予防できる。妊娠中や授乳中の食物制限は子どものアレルギー疾患発症予防に効果が無いことが明らかになっている。』
アレルギーの始まり「感作」が主に皮膚であることが明らかになり、最近では「経皮感作」をアレルギーの新常識と表現するようになってきています。
経皮感作によるエビデンスが蓄積されつつある中、スキンケアによるアトピー性皮膚炎や食物アレルギー等アレルギーの発症予防効果への期待が高まっています。
※1: Lack G. Epidemiologic risks for food allergy. J Allergy Clin Immunol 2008; 121(6): 1331-6
※2:大矢幸弘、新版よくわかる「アトピー性皮膚炎」、(公財)日本アレルギー協会
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(株)構造機能科学研究所
代表取締役 鈴木 正夫