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※赤字の日はお休みさせていただきます。
2015.04.18
人体には、有害なものから守るためのバリアが随所に存在しています。
私はスキン・バリアを専門としていますが、皮膚と密接な関係にある脳のバリアに関する話題をご案内いたします。
アルツハイマー病や脳腫瘍、パーキンソン病など、脳の病気を薬で治療することは困難でした。その理由は、脳の内部に薬物を届けるには『血液脳関門』というブレイン・バリアを通り抜けなければならないからです。
例えば、アルツハイマー病に使う抗体医薬と呼ぶ新しい治療薬は、注射した量の0.1%ほどしか届きませんでした。
最近、届きにくい脳の内部に的確に治療薬を運ぶ技術の開発が相次いでいます。
その主な例を紹介します。
①名古屋大学の澤田誠教授らの方法
細菌などを殺すミクログリア細胞が血液脳関門にある錠前を開けて通り道を作り、内部に入り込むことに注目し、錠前の鍵の役目を果たすたんぱく質の遺伝子を特定して人工合成しました。
製薬会社3社がアルツハイマー病の治療薬に応用を検討しており、今後、治療薬を使った実験を進めます。
②東京大学の片岡一則教授らの方法
血液脳関門が脳神経細胞の活動に欠かせないアミノ酸などを通すことに着目し、その構造にまねた分子を開発しました。
iPS細胞以外にも、夢の治療薬の開発が進んでいます!
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p.s.『血液脳関門』
脳の働きに決定的に大切な神経細胞を有毒物質から守るバリアー機能。
脳以外の毛細血管では、内側にある細胞同士の間に大きな隙間があり、大きな分子も通る。一方、脳の毛細血管は、内側の細胞がぎっしり並んで隙間が無く、入り込めない。
脳にとって必要な物質は、血管の内側の細胞を通り抜けて中に入る。血液が流れる側の細胞の表面にあるたんぱく質が物質を認識し、捕まえた物質と一緒に細胞を通過するとされる。
脳に入る物質には、アミノ酸や糖、カフェイン、ニコチン、アルコールなどがある。
(参照:日経朝刊2015/4/14)
(株)構造機能科学研究所
代表取締役 鈴木正夫